
デコレーションに関する各種手法や技法、作り方などを指導するスクールは2008年ごろから急激に増えました。同時に技術を一定レベル以上にし、業界を盛り上げようと、検定試験を実施、審査する協会も設立されるようになります。
スクール開設の背景、業界の過去と現在を知らず、デコレーションを学ぼうと思うと意外と多くのスクールがあることに気付き、見ているうちに色々な情報に翻弄されてしまい、何が良いの解らなくなったという声を多く聞きます。
そんな方のためにここでは、スクールを納得して選んで頂くためチェックしておきたいデコスクール選び方のポイントを5つに絞ってご紹介いたします。もちろん、当スクールをお勧めしたいところですが、ここでは“デコスクールを納得して選ぶためのポイント”として参考にしてください。
デコスクールで学ぶメリットはあるのか?
デコ電をはじめ、デコアイテムは見様見真似で作ることが出来るので、スクールに通う必要は無いと考える方が大半かと思いますが、実際はデコレーションを作り始めて、改めて知る難しさが多くあります。
そのため、良くある独学での失敗が起きないためにも、スクールで正しい知識、作り方、技術を身に着ける必要があります。もちろん、正しい技術かどうかはスクールによりばらつきがあるため、一概にこれと言えるものがある訳ではありません。だからこそ、あなた自身の目でしっかりと“自分にあった技術・知識・作り方”なのかを見極める必要があります。自分にあったスクールを探し、理想以上の講義を受けることが出来るスクールで学ぶことが出来れば、スクールで学ぶメリットはかなり大きくなります。
スクール選びで失敗しない5つのポイント
デコスクールに限らず、一般的なスクール選びのポイントとして、通いやすさ・価格・知名度・講師の質・講義内容などが容易に思い浮かぶかと思います。もちろんそうした観点も必要ではありますが、複数のスクールを比較検討しているうちに自分が学びたかった内容と、気が付くと違う方向に思考がいってしまい正しく判断が出来なくなる瞬間があります。そんなとき、見落とさないで欲しいスクール選びのポイントを5つにまとめましたので是非参考にしてください。
POINT1 学べるデコレーションのジャンルで比較
ジャンル別比較でご紹介したようにデコレーションには、複数のジャンルが存在します。そのため、特定のジャンルに特化したスクールから、広いジャンルを指導するスクールまで様々ですが、多くのジャンルについて指導出来るスクールの場合、それぞれのジャンルについて、専門的に指導できる環境や講師のスキルが求められます。しかし、そういったスクールはまだまだ数が少ないので、総合的にデコレーションの技術を学びたいとお考えの場合は特に慎重にスクールを選ぶ必要があります。
また、各ジャンルによってさほど技術を必要としないものもあるので、よりハードルの高い技術や技法を身に着けることが出来るスクールを選ぶことで失敗は少なくなります。そうした技術を学ぶことで他の手法や、技法に応用できることも多々あるので、そうしたポイントも見逃さないようにしっかりと学べるジャンルを比較検討する必要があります。

<パーツを配置するジャンル>
大きなアクリルパーツなどを付けたパーツデコレーション(盛りデコ)を学びたいのか?スワロフスキーなどの細かいパーツをつける繊細な技術を学びたいのか?この2種では後者の方がより高度な技術を要するため、細かな表現を学ぶことで大きなパーツを取り扱うパーツデコレーション、ビジューデコレーション、一部のスイーツデコレーションの技術をカバーすることができます。
<下地として応用されるジャンル>
フラットな仕上がりになることで、下地として使用されるデコレーションに、ラミネートデコとペイントデコがあります。この2つを比較したページでも解説をしていますが、剥がすことができ、ストーンの隙間をキラキラに出来るラミネートデコの下地技術を学ぶことで下地としての仕上がりに大きな差が生まれます。そのため、これからデコレーションを始めようとお考えの方であれば、この技術を学ぶことでより専門的な知識を得ることが出来ます。
POINT2 受講環境(通信・通学)を比較

<通信教育がいいのか?>
通信教育で受けたい。通学で受けたい。それぞれに想いはあるかと思いますが、その比較をする際に是非参考にして頂きたいのが、受講環境です。通信教育の場合、付属するDVD観賞で本当に技術が身に付くと思いますか?あなたの技術(手作業)は講師は見ていません。送付された完成作品のみであなたの技術を判断することになります。接着剤の斑、パーツの取れやすさや曇りなど指摘する項目は、「もう少しこうしましょう。」といった完成作品(結果)に対しての評価のみです。もちろんその指摘から修正をする努力も必要ですが、ここで学びたいのは修正方法でありコツでもある“技術”です。全ての受講生に共通した悩みや、改善箇所はある程度絞られるものですが、そこに当てはまらないことがあなたの技術には存在するかも知れません。そうしたときしっかりとした技術指導を受けることが出来る様、通学での受講を選ばれることをお勧めします。

<通学でのスクールはどこも同じ?>
通学といっても受講環境はスクールにより異なり、大勢の人が集まる受講環境から、少人数制やマンツーマンによる受講環境まで様々です。それぞれの環境に応じてどの様なメリット、デメリットがあるのか比較検討し選ぶことが必要です。
複数の生徒さんと受講する環境
メリット
受講生同士が集まることで、情報交換などが出来る。
他の受講生より良いモノを作りたいという意欲が湧く。
比較的安価に受講できる場合が多い
デメリット
講師を独り占め出来ないので、聞きたいことをすぐに聞けない。
他の受講生がいるため、質問するには勇気がいる。
他の受講生と比較されてしまうかも知れない。
ここで上げた内容は一例ですので、それぞれ受講生の好みにより判断が異なるかと思います。ただし、ここで重要なことが、デメリットを可能な限り軽減する環境であるかということです。質問する勇気が無くても、受講生同士の経験値が同じかどうか、同じタイミングで集まった受講生が授業を受けているのかが重要です。そのため、この形態はセミナーや特別講座など一定レベルで受講生さんが同じスキルを持った環境で集まることが望ましいので、こうした環境は初心者の方には不向きになる可能性が高いです。また、受講生の人数に対し、講師が極端に少ない場合(講師1名に対して5名を超える場合)、直接的な技術指導があることは期待しない方が良いかも知れません。
マンツーマン指導で受講する環境
メリット
気になるところを徹底的に聞ける
講師の技術を間近で見ることができる
最初から最後までずっと技術指導を受けることができる
他の受講生のペースを気にしなくて良い
デメリット
他の受講生との情報交換が出来ない。
受講料が高額になる場合がある。
通学で受講するからには、マンツーマン指導、もしくは少人数制(講師1名に対して最大5名)を選択する方が、はるかに早く正確な技術レベルの向上が見込めます。また、他の受講生のペースを気にしなくても良いのでゆっくりと受講ができ、課題内容を早々に終了した際にも次の課題に着手するなど柔軟な対応が出来るのもマンツーマン指導の魅力と言えます。ただし、この時注意したいことがスクールによって、マンツーマン指導や、少人数制でも“講師の技術を見れない”こともあるということです。各課題に対して製作する講師の技術を間近で見ることが出来るのかも合わせて説明会の際にはチェックしておく必要があります。
POINT3 指導技術は課題作品・ショップ作品で比較

手法を学ぶのか、技法を学ぶのかで見極める
デコレーション手法(技法)の種類で紹介していますように、手法と技法の定義を抑え、手法を学びたいのか?技法を学びたいのか?をしっかりと意識しなくてはいけません。作り方(大まかな作業の流れ)のみ指導するスクールでは、技術を伴う技法を学ぶことが出来ません。料理に例えると、「まず、フライパンに油を注ぎます。それからカットした具材を入れて炒めます。」といった内容では、手法のみで単なる作り方になってしまいます。学びたいことは「どんな注ぎ方で油を注ぐのか?どんな調理道具で、どんな風にカットした具材を、どの様な入れ方で、どうやって炒めるのか」ではないでしょうか。こうした内容が抜けていては、技術もコツも全く学べないという事です。プロの料理人と素人では扱う道具が違うと思いますが、素人がプロの道具を使っても美味しい料理を作れないのと同じで、そこには卓越した技術や長年培ってきたコツが隠されているものです。だからこそ、そんな技術やコツまでをしっかりと指導してくれるスクールを見つけ、選択することが大変重要になります。
<スクール課題作品を比較>
技術までを指導して貰えそうなスクールが見つかったとします。しかし、本当にそこの技術で大丈夫ですか?その技術が本当にあなたを満足させることが出来る技術なのか、しっかりと比較検討してください。学びたいデザインや技術は受講生さんにより異なるかと思いますが、その比較をするため、最も簡単な方法が講師の作品を比較することです。中々講師の作品を直接見る環境は無いかと思いますが、そうしたときこそ、どこのスクールでも開催している体験入学や説明会に予約されることをお勧めします。
<ショップの作品を比較>
比較検討するスクールの運営元が、ショップを合わせて運営していることが条件になりますが、実際に運営しているショップに行ってみて作品をチェックすることもお勧めです。この時合わせてサービス内容もチェックすることが重要です。接客・デザイン・技術レベル・作業時間・価格帯・客層など思い当たるところは全て比較することで、より納得のいくスクールを選択出来る様になります。
取扱い技術で比較
デコ下地(ベース)の作り方と種類で紹介しました様に、スワロフスキーなどのパーツを対象物に貼り付ける際、最も重要になるのが下地です。どういった手法で下地を加工するのかによって完成度や見栄えは大きく変わるので、ペイントでの授業なのか、ラミネートデコによる授業なのか、それら2つの授業内容の違いで習得できる技術内容は大きく異なります。スクールによって、「カラーを直接ペイントする方法」「ラミネートデコレーション(特殊フィルムを携帯電話などに施す加工方法)」などを専門に教えるスクールもありますので是非注目してみて下さい。
2012年追記:最近はラミネートデコの需要が高まり、ほとんどのスクールがラミネートデコを取り扱うようになりました。
直接ペイントによる下地とラミネートデコによる下地の比較はこちらを参考にしてください。
POINT4 ショップを運営しているかで比較

ショップ経験がない中で指導内容は生まれるのか?
ショップは無いけれど、スクールはある。こうした業態のスクールが非常に多くなりました。凄く不自然な現象ですが、全国的にみて、デコショップより、デコスクールの方が今では多くなったと言われています。理由は、安易に独学の延長でスクールを開設したところが多く、ショップ経験も儘ならない人が講師を務めている事が大半です。経験はないけれど前に記載したような“手法”は知っている。こうした安易な考えで開校しているスクールも中にはあるので以下の点を踏まえしっかりとご自身の目で確かめて下さい。
<出店環境を比較>
POINT3で紹介したように作品を比較しようと思っても、ショップを運営しているスクールでなければ比較が出来ません。スクールを開設しているにも関わらず、顔を見ないネットショップのみであったり、仮設店舗やイベント販売、マンションの一室といった環境では、本当にデコレーションの技術があるのか確認することが出来ません。もちろん全てのショップに当てはまる訳ではないのですが、一つの指標として、スクールに通いショップを開業したいとお考えの方であれば是非、この点は注目して頂きたいところです。
<就職先としてのショップになる可能性も>
ショップを運営するスクールであれば卒業後の就職先としても視野に入れることが出来ます。デコレーションに関係する仕事に就くことを夢見ている方も多いのですが、ショップの運営元がスクールを運営している場合、多くはスクール受講生さんから採用を決定しています。スクールや協会の増加とともに資格の種類が増える中、信用が出来る技術や資格を自社のスクールカリキュラムや、資格であると考えることは自然の事で、受講生さんからの採用を決定するのも納得出来ます。稀に他のスクール卒業生や、協会の資格を有した人を採用することも考えられますが、その場合の多くは、就職先スクールに再入校する事が条件となることもあるので最初のスクール選びは慎重にすることをお勧めします。
POINT5 講師のスキルで比較

複数の講師がいるスクールには新人講師から長年経験をしている講師まで、その経歴に斑や幅は当然あります。また、男性の講師も女性の講師もそれぞれです。複数の講師がいるスクールであれば学べる幅も広がるかと思いますが、それより重要なことが、講師一個人の経歴やスキルで、講師のキャラクターから、作品まで幅広く情報を得て理想の講師に出会うことも重要です。
講師のスキルを見抜く3つのポイント
<経歴を見る>
講師がどのような、経歴を経て、現在の仕事をしているかなどはとても重要です。全く関係のない経歴を持っているからといって技術やスキルに信用が無いということではありませんが、デコレーションを初めて1、2か月の講師に教わりたくないですよね?どの世界にもプロフェッショナルと呼ばれる人がいますが、数か月でプロと呼ぶことはかなり困難かと思います。最低でも2年以上のショップ経験があることで、一通りのスキルを身に着けていると考えた方が自然です。お客様の要望に応え喜びを感じた、新作デザインに苦戦した、技術習得に苦戦したなどの喜びや悩みを過去に経験した講師であることで学べる内容に幅が広がります。また、2年の実務経験をすることでデザインの変化や、手法の変化も経験出来ているので講師のスキルになっています。そうした豊富な経験をしている講師に学べるスクールを選ぶことも重要な項目となるので是非参考にしてみて下さい。
<作品を見る>
講師が現役のクリエーターであることが条件になりますが、実際にショップでお客様の作品を作っているようであれば、その作品をじっくりと観察することも講師のスキルを見抜くうえで必要になります。クリエーターとして恥じない、独自のデザインで提案が出来ているのか?キャラクターや、ブランドロゴなどのコピーを作っていないか?講師独自の世界観を持っているのか?こうした観点で作品を観ることで、講師の一貫したポリシーのようなものをそれぞれに感じることができ、どの講師に習いたいかを比較しやすくなります。専門学校や大学に行く際に、そこの講師のスキルや経歴を比較したように“自分が憧れる作品を作っている”講師に出会うことが重要です。
<ブログをチェック>
講師の人柄は、日々更新されるBlogで確認できます。受講生さんの作品に対するコメントや、ちょっとしたポイントなどが盛り込まれていると、専門的な知識を持っていることが垣間見え、講師のスキルを感じることができるかも知れません。また、どんなものに興味があり、自分とどんなところで共通しているのか。そんな発見も入校前にあるとより親近感が湧き、質問などもしやすくなるかと思います。